10年一昔といいますが、
丁度一昔前に音楽室の増築を計画する機会がありました。
増築前からピアノを中心とした音楽教室をされていて
グランドピアノが4台ほど増築前の教室や部屋にありました。
家族は皆ピアノの演奏家で一線で活躍をされています。
また、多くの一線で活躍をしている演奏家を育てられた音楽教室です。
そんな音楽教室に
グランドピアノを二台置き40人程の席が確保でき
普段はピアノをはじめ楽器のレッスンが出来るスペースを
という要望でした。
住宅地でもあるので防音も専門家にアドバイスを頂き
出来る限りのことをしました。
その音楽室の名は「音のアトリエ」
その「音のアトリエ」が竣工してから10年目になり
10周年を祝うクリスマスコンサートにお招き頂ました。
道路から敷地の中に入ると庭の植栽越しに
窓からアトリエの様子が少し見えます。
建物に入るとアトリエは隠れて
廊下を少し渡ると広がりのある「音のアトリエ」へ入って行きます。
コンサートでは、メゾソプラノの独唱やピアノの演奏を聴きながら
10年の歳月が床や壁そして天井の色を変えて
「音のアトリエ」として全体が馴染んできたのを感じました。
音楽が時間の芸術であるように
建築もまた時間をかけて変化していくことを感じることが出来ました。
竣工したときに完成ではなくて、時間とともに円熟していく
そんな空間を目指したいものです。
コンサート後、手作りのオードブルやワインを頂きました。
とても美味しかったです!
10年といえば自分で事務所を始めだした頃で
僕にとっても節目の建築になります。
「音のアトリエ」はたった一室の空間ですが
ここから多くの演奏家が育てられたように
僕もここで多くのことを経験し学びました。
気持ちの大きな空間です。
初心、忘れないようにしたいですね。